和食

庭のエシャレットから始まった晩酌の物語:らっきょうとの意外な共通点
収穫したてのエシャレットを、新鮮なまま味噌をつけて頬張る。シャキッとした食感と、ほんのり香る独特の風味が口いっぱいに広がり、冷たいビールや、時にはキリッと冷やした芋焼酎がたまらなく進む。そんな至福のひとときを、かつておうちのお庭にある畑が提供してくれていました。
しかし、ふと疑問に思ったんです。「この食べ方、今が旬のらっきょうでも同じように楽しめるのかな?」見た目はよく似ているけれど、果たしてその味や香りはどう違うのか。そして、もしらっきょうも生で美味しいなら、どんな食べ方があるんだろう?今回の記事では、私のそんな素朴な疑問から、らっきょうとエシャレット、二つの魅惑的な根菜の正体に迫り、その魅力や意外な食べ方、そして愛飲する芋焼酎との相性までを深掘りしていきます。
らっきょう vs エシャレット:その正体と違い
見た目はそっくりならっきょうとエシャレット。スーパーで見かけるたびに、「これって同じもの?」と疑問に思った方もいるかもしれません。しかし、この二つ、実は似て非なる存在なんです。
エシャレットの正体:ベルギー生まれの「早採りラッキョウ」
「エシャレット」という名前から、フランス料理などに使われる「エシャロット」と混同されがちですが、日本のエシャレットは、実は軟白栽培された若採りのらっきょうの根を指します。土寄せをして白い部分を長く育てることで、辛みが抑えられ、独特の甘みとシャキシャキとした食感が生まれます。主に生のまま、味噌やマヨネーズをつけて食べたり、サラダのアクセントに使われたりします。旬は春先から初夏にかけてで、柔らかく瑞々しいのが特徴です。主な産地は静岡県などが有名ですね。
らっきょうの正体:薬効も注目される古来の根菜
一方、一般的に「らっきょう」として知られているものは、ネギ科の植物で、その鱗茎(りんけい)を利用します。独特の強い香りと辛みが特徴で、その成分には殺菌作用や血液サラサラ効果など、様々な薬効があるとも言われています。私たちがよく目にするのは、甘酢漬けにされたものですが、生で食べるとその刺激的な辛みがより際立ちます。旬は初夏で、特に宮崎県や鳥取県が一大産地として知られています。
生で食べ比べ!らっきょう vs エシャレット
我が家の家庭菜園で採れたエシャレットとの思い出から始まった、生で食べるという発想。実際にらっきょうも生で食べられるのか、そしてその違いはどんなものか、探っていきましょう。
エシャレットの生食は至福の味
私が毎晩楽しんでいたように、エシャレットの生食はまさに絶品です。その魅力は、なんといってもシャキシャキとした心地よい歯ごたえと、辛みが少なくマイルドで上品な風味。生野菜感覚で気軽に食べられるのが嬉しいポイントです。味噌をつけて食べるのはもちろん、マヨネーズを添えたり、ディップソースで楽しんだりするのもおすすめです。細かく刻んでサラダに散らせば、風味豊かなアクセントになりますよ。
らっきょうの生食、いざ挑戦!
「らっきょうを生で?」と驚かれるかもしれませんが、実は可能です。ただし、エシャレットと違い、らっきょうは生だと非常に強い辛みと香りが特徴です。そのままガブリといくと、かなりの衝撃を受けるかもしれません。
生で食べる際のポイントは、薄切りにすることと、軽く水にさらすこと。こうすることで、辛みが少し和らぎ、シャキシャキとした食感が引き立ちます。もちろん、味噌との相性は抜群ですが、醤油と少量の酢で和えたり、ごま油を少し垂らしたりするのも面白いでしょう。薬味として冷奴に乗せたり、鰹節と一緒に和えたりするのも、らっきょうの風味を活かす食べ方です。意外な発見があるかもしれませんよ!
自家製野菜の収穫は家庭菜園の楽しみ:育て方のポイント
らっきょうもエシャレットも、自宅で育てることが可能です。自分で育てたものを食卓に並べる喜びは、何物にも代えがたいものです。
らっきょうの育て方:手間はかかるが収穫の喜びは大きい
らっきょうは、種球を植え付けてから収穫までに約1年かかるため、少し気長な栽培になります。水はけの良い場所を好み、日当たりも重要です。植え付けは秋が一般的で、追肥や土寄せを適宜行い、翌年の初夏に収穫します。病害虫に比較的強いですが、連作障害を避けるために同じ場所での栽培は数年空けるのが良いでしょう。収穫したてのらっきょうは、まさに格別な味わいです。以前にも触れたかもしれませんが、我が家は昔らっきょうやトウモロコシを育てていた畑を用途転用申請をして宅地にしたので相性は良いはずです。
エシャレットの育て方:軟白栽培でマイルドに
エシャレットは、らっきょうと同じ種球を使いますが、育てる過程で軟白栽培という特別な手間をかけます。これは、土を盛り上げて白い部分を長く育てる栽培方法です。家庭菜園で完全に軟白させるのは少し難しいかもしれませんが、土を深めに盛ることで、ある程度の白さを出すことができます。収穫はらっきょうよりも早く、春先には楽しめます。母は種から育てていたので、もしかしたら別の品種なのかもしれませんね。
意外な美味しさ!らっきょうとエシャレットの珍しい調理法
普段は定番の食べ方ばかり、という方もいるかもしれませんね。ここからは、らっきょうとエシャレットの意外な魅力を引き出す、珍しい調理法をご紹介します。
らっきょう:甘酢漬けだけじゃない!アレンジレシピ
- らっきょうの天ぷら:意外かもしれませんが、揚げると甘みが増し、ホクホクとした食感になります。塩を軽く振って食べると絶品です。
- らっきょうの炒め物:豚肉や鶏肉と一緒に炒めると、シャキシャキとした食感が残り、独特の風味が料理のアクセントになります。醤油ベースの味付けがおすすめです。
- らっきょうタルタルソース:細かく刻んだらっきょうをマヨネーズと混ぜるだけで、いつもと一味違うタルタルソースが完成。フライやチキン南蛮にどうぞ。
エシャレット:生食以外も楽しめる!
- エシャレットの肉巻き:薄切り肉でエシャレットを巻いて焼く。エシャレットの香りと肉の旨みが相まって、ご飯が進む一品になります。
- エシャレットのアヒージョ:オリーブオイルとニンニクで煮込むと、エシャレットの甘みが引き立ち、ワインにも合うおしゃれな一品に。
- エシャレットのスープ:細かく刻んでポタージュやコンソメスープに入れると、独特の香りが食欲をそそります。
自家製「食べるラー油」に挑戦!らっきょうとエシャレットの香ばしさ
一時期大ブームを巻き起こした「食べるラー油」。香ばしいフライドオニオンやフライドガーリックの食感と、ピリ辛のラー油がご飯にぴったりで、私も一時期ハマっていました。そんな「食べるラー油」に、実はらっきょうやエシャレットのシャキシャキとした食感と香ばしさが加わると、さらに奥深い味わいになるんです!
【レシピ】らっきょうとエシャレットで作る自家製食べるラー油
自宅で手作りすれば、辛さや風味も自分好みに調整できます。
材料
- らっきょう(甘酢漬けでも生でもOK):50g
- エシャレット:50g
- ごま油:200ml
- サラダ油:50ml
- 長ネギ(青い部分):1本分
- ニンニク:2〜3片
- 生姜:1かけ
- 鷹の爪(輪切り):お好みで3〜5本分(辛さはお好みで調整)
- 粉唐辛子:大さじ2〜3(粗挽きと細挽きを混ぜると良い)
- 干しエビ(あれば):大さじ1
- ナッツ類(ピーナッツ、カシューナッツなどお好みで):大さじ2
- 醤油:大さじ1
- 砂糖:小さじ1/2
- 塩:少々
作り方
- 下準備: らっきょうとエシャレットは薄切りまたは粗みじん切りにする。ニンニクと生姜は薄切りにする。長ネギの青い部分は適当な長さに切る。干しエビとナッツ類は粗く刻んでおく。
- 香りの抽出: フライパンにごま油とサラダ油を入れ、長ネギ、ニンニク、生姜を加えて弱火にかける。じっくりと香りが立つまで、焦がさないように15分ほど加熱する。
- 油の濾過: 香りが十分に立ったら、火からおろし、ザルなどで油を濾す。濾した後のネギ、ニンニク、生姜は焦げ付いていなければそのまま具材として使っても良いですが、よりクリアな油にしたい場合は取り除く。
- 具材を揚げる: 濾した油を再びフライパンに戻し、らっきょう、エシャレット、干しエビ、ナッツ類を加えて弱火でじっくりと揚げる。カリカリになるまで焦がさないように注意しながら、20分ほどかけてじっくりと火を通す。
- 仕上げ: らっきょうとエシャレットがカリッとしてきたら火を止め、鷹の爪と粉唐辛子を加える。余熱で唐辛子の香りを引き出す。最後に醤油、砂糖、塩を加えて混ぜ合わせる。
- 保存: 粗熱が取れたら清潔な密閉容器に入れ、冷蔵庫で保存する。
活用アイデア
ご飯に乗せるのはもちろん、ラーメンやうどんのトッピング、冷奴、餃子、炒め物など、様々な料理に活用できます。らっきょうとエシャレットのシャキシャキとした食感と香ばしさが、やみつきになりますよ。
芋焼酎との至福のマリアージュ:おすすめは「川越」
さて、焼酎好きの皆さんに朗報です!らっきょうとエシャレット、どちらも芋焼酎との相性が抜群なんです。特に、私が自信を持っておすすめしたいのが、宮崎県の川越酒造場が造る「川越」です。
この「川越」は、伝統的なかめ壺仕込みと木桶蒸留で造られる、芋焼酎本来の旨みと香りを存分に楽しめる逸品です。黄金千貫という焼酎作りのための品種を使うことで穏やかな芋の香りと、口の中に広がるまろやかで優しい甘み、そしてキレの良い後味が特徴で、どんな料理にも寄り添う懐の深さがあります。これだけ美味しいのに入手しやすいため、例えば「森伊蔵」のようにプレミアが付いてしまうこともなく、リーズナブルプライスで購入できますから晩酌には最適なお酒だと思います。
- らっきょうの甘酢漬けと「川越」:らっきょうの甘酸っぱさが口の中をリフレッシュし、「川越」の芋の香りをより一層際立たせます。食中にぴったりの組み合わせです。
- エシャレットの生食と「川越」:エシャレットのフレッシュな辛みとシャキシャキ感が、「川越」のまろやかな甘みと絶妙にマッチします。生の薬味として、ストレートやロックの「川越」をぜひお試しください。
- 自家製「食べるラー油」と「川越」:香ばしくピリ辛な「食べるラー油」は、「川越」のお湯割りや水割りの肴に最高です。油のコクとラー油の辛みが、焼酎の風味をより一層深めてくれます。ぜひ温かいご飯と一緒に、「川越」を片手に楽しんでみてください。
これからの季節、旬のらっきょうやエシャレットを肴に、ゆったりと「川越」を傾ける。そんな至福の晩酌タイムを過ごしてみてはいかがでしょうか。
まとめ:食卓を豊かにする二つの根菜
ご自身の庭のエシャレットから始まった、らっきょうとエシャレットの探求の旅。いかがでしたでしょうか?
見た目は似ているけれど、それぞれ異なる魅力を持つらっきょうとエシャレット。生食の楽しみ方から、意外な調理法、そして手作りの「食べるラー油」まで、その可能性は無限大です。そして何より、芋焼酎「川越」との相性の良さは、焼酎好きにはたまらない発見だったのではないでしょうか。
今年の旬には、ぜひ食卓にらっきょうやエシャレットを取り入れて、様々な食べ方を試してみてください。きっと、あなたの晩酌がより一層豊かなものになるはずです。