ニーモニック

2024年11月06日19:12デジタル遺品の整理について4

遺品の新しい形「デジタル遺品」

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母が急逝して8か月ほど経ちました。
葬儀や法要で慌ただしく時間は過ぎて、このブログのメインコンテンツになっている遺されたお庭の畑に四苦八苦しているところに加えて、法的公的に関わらず様々な手続きをしなくてはならないことに半ば呆れつつ、ひとつずつ片付けています。
私の母は戦時中の生まれという世代で、自分でクルマも運転していましたが高齢になり免許返納済みで、携帯も通話だけの利用だったため、この記事のタイトルに挙げた「デジタル遺品」というものは皆無だったのですが、冷静に考えてみると、もし母が生前スマートフォンを普通に使えていたら遺された家族はかなり大変なのではないか、とふと思った次第です。
例えば、仮に私が急逝したとしたら、この「デジタル遺品」というのはかなりの量に上り、恐らく残された家族たちにはほとんどが見つけることができずに失われてしまうのではないかと思うのです。銀行や証券のオンライン口座はなんとかなったとしても、仮想通貨(最近では暗号資産と呼ばれていますが)の海外CEXアドレス(10口座は間違いなくあります)やWeb3 Walletアドレス(こちらは主要プロジェクトのコールドWalletアドレスも含めると数十個あります…)はママや娘には開けないでしょう。いくつかのメールアカウントとXやTelegram、Discordなどの普段使いのSNSアカウントとそこで運営するコミュニティ、クラウドストレージ上の様々なファイル、それらも場合によっては失われてしまうかもしれません。そしてこのブログや他のメインブログ、それに様々な静的Webサイトなどもドメインの更新が切れれば追跡が叶わないかもしれません。
これは「もしも」の時に備えて、少しリサーチと準備が必要なようです。

デジタル遺品とは


スマートフォンが普及した現代では、故人が利用していたデジタルコンテンツやアカウント、すなわち「デジタル遺品」についての整理が非常に重要だと言われています。
例えば、メールアカウントやSNSのアカウント、クラウドストレージに保存されたフォト画像やファイル、ブログ、更にはオンラインの銀行口座や証券口座、仮想通貨の管理まで、様々なデジタル情報が存在します。これらのデジタル遺品は、故人の思い出が詰まったものであったり、残された家族にとって重要な資産であったりするわけです。
しかも、それらはあるであろうという予見はあっても、実際に故人が事前に各種アカウントやwebサービスなどへのアクセス方法やパスワード認証などの情報を家族に伝えていなければ(あるいは遺言やエンディングノートなどへの記載)個人の他界後にそれらへのアクセスは物理的に不可能になってしまうという点が問題になりそうです。

デジタル遺品の整理が必要な理由


デジタル遺品を整理する理由は、単に思い出を振り返るためだけではありません。例えば、故人が残した重要な情報や資産が、適切に引き継がれないと大きなトラブルに繋がることもあるんです。特に、金融情報や個人情報が含まれている場合、それらを適切に管理または整理しないと、遺族が後になって困ることもなんていうことも十分あるわけです。
具体的には、故人が生前webサイトやブログを運用している場合、恐らくはドメインも取得しているでしょうからこれらの支払いが大抵の場合は自動更新でクレジットカードやその他の方法を使って実施されますので、死亡確認後すぐに凍結される銀行口座やそこに紐づいているクレジットカードであれば問題は起こりませんが、現代では様々な決済が設定できるので何年もの間、自動更新が続くようなことも考えられます。
暗号資産の場合はもっと深刻です。こちらはKYCの必要な取引所の口座であれば、追跡も凍結も可能でしょうが、最近の傾向はWeb3なので、アノニマスなWeb3 Walletアドレスでの運用の場合、StakingやFarming、それにLiquidity Poolなどへの投資は登録したWalletアドレスに資金がある限り、永続的に続けられてしまいます。これらの資産をきちんと相続することはかなり難しい作業になるのではないでしょうか。

デジタル遺品整理の具体的なアプローチ


では、具体的にどのようにデジタル遺品を整理すればよいのでしょうか。いくつかのアプローチとプロセスを挙げてみます。

アカウントとパスワードの管理


まず、故人が利用していたアカウントやパスワードのリストを作成することが大切です。実際に利用しているwebサービスなどもリストアップしておき、これらのIDまたはユーザー名、それにパスワードなどをわかり易くまとめておく必要があります。仮想通貨の場合は更に慎重に、ニーモニックや秘密鍵などをきちんと安全な方法で保管しておくことが必要になります。
これによって、残された家族がスムーズにデジタル遺品を整理できるようになります。加えて、エンディングノートなどにこれらの情報をまとめておくと、より安心です。

データのバックアップと削除


次に、残されたデータのバックアップを取ることが重要です。特に、思い出の写真や動画などは、できるだけ多くの場所に保存しておくと良いでしょう。また、故人の意思に反して見られたくないデータは、早めに削除するか、専用のフォルダを作ってパスワード設定をしてロックしておくことをおすすめします。

SNSやブログの整理


SNSやブログも、故人の個性や思い出を反映した大切なデジタル遺品です。必要に応じて、アカウントを削除したり、公開設定を変更したりしましょう。また、重要な情報が含まれている場合は、誰がそのアカウントを引き継ぐのかをあらかじめ考えておくと良いです。SNSやブログが収益化できている場合は一つの資産とも考えられるので、これを環境ごと家族にきちんと引き継ぐことは今後非常に重要になってくると思われます。

仮想通貨の管理


最近では、仮想通貨が主流になってきています。しかし、仮想通貨の整理は特に難しい部分が多いです。ニーモニックや秘密鍵やパスワード、回復用メールアカウントなどが分からないと、資産を引き継ぐことができず永遠に失われてしまうことが考えられます。仮想通貨の場合は故人が運用していた時には価値評価が進んでいなくても、ある程度の時間が経過してプロジェクトの価値が定まり価格が高騰することも頻繁に起こるので、法定通貨よりもきちんと管理しておく必要があります。
これも、あらかじめ整理しておくべき重要なポイントですね。

専門業者への相談


遺された家族だけでデジタル遺品の整理が難しい場合は、専門の業者に相談することも選択肢の一つです。
専門家の意見を聞くことで、よりスムーズに整理が進むこともあるんです。
特に、相続や法的な問題に関わる場合は、専門家に頼るほうが賢明です。また、副次的な効果として故人のプライバシーや尊厳に立ち入らずに結果だけを得ることも可能なのではないかと思っています。
この種の悩みは既に一定の水準までケースごとの対応が収集され、専門業者にはノウハウや対応すべき手順が類型化されてスムーズに調査や整理が可能になっているはずです。すべてのデジタル遺品を回収することは難しくとも、家族で苦労をするよりも短期間で手が掛からないで済むのは間違いありません。
特に、慣れないとまず触ることはおろか保有トークンの概要すらわからない仮想通貨(暗号資産)のWalletアプリやCEXなどでの保有資産を回復するには専門業者に頼むのが安全でしょう。秘密鍵やニーモニックがわからなくてもパスキーや生体認証その他でアクセスが可能なスマートフォンのWalletアプリをうっかり触ってしまって二度とアクセスできない状態にしてしまう前に、試してみる価値はあります。
「デジタル遺産バトン」 デジタル遺品整理サービス

生前にできる準備


デジタル遺品の整理は、故人が生前にできる準備でもあります。エンディングノートにアカウント情報やパスワードを書き留めておくこと、遺族に対してデジタル遺品の整理方法を説明しておくことが非常に重要です。こうした準備があれば、残された家族もタスクをこなすのが楽になります。

デジタル遺品整理の注意点


デジタル遺品の整理にはいくつかの注意点があります。
まず、個人情報の取り扱いには十分注意を払うこと。知らない人に見られたくない情報は、事前に削除しておくか、暗号化しておくことが推奨されます。
また、故人の意志を尊重することも大切です。故人がどのようにデジタル遺品を扱ってほしいと考えていたのか、確認することも忘れてはいけません。
これらは、デジタル遺品を保有していた側、つまり残す側である故人がそれぞれのデジタル遺品について明確に指示を書き記しておく必要があるのは間違いありません。

まとめ


デジタル遺品の整理は、現代社会において避けては通れない課題です。個人情報や金融情報が詰まったデジタル遺品を適切に整理することで、残された家族の負担を軽減することができます。しっかりとした準備や計画を立てて、安心して未来を迎えられるようにしましょう。

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